ヤマハ藤田 シーサイドクラブ
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「REGAL」の2017年ラインナップにニューモデルとして加わった「REGAL 42 Grande Coupe」
マックススピード34ノットを叩き出す、新たなハードトップ艇だ。
今年2月号で紹介した「42 Fly」のフライブリッジレスモデル、広く快適なサロンと、低重心ならではの走りを兼ね備えた仕様。
今回は、この「42 Grande Coupe」のアメリカ・フロリダでの試乗と、日本国内での「1900 ES」、好対照な二つのREGALシートライアル
を紹介しよう。
text: Takayuki Kijima
photo: Kai Yukawa, REGAL MARINE INDUSTRIES
special thanks: REGAL MARINE INDUSTRIES
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■■ リーガルボート 42GRAND COUPE
PDF版は こちら>>>REGAL42GrandCoupe
「REGAL Marine Industries(リーガル)」はアメリカ・フロリダ州に本拠を置くボートビルダーだ。1969年に創業し約半世紀の
時を刻んできた。
ミドルクラス以下のエクスプレス艇を得意とし、ボートにさまざまな斬新的な意匠を取り込んできたことでも知られている。2017年
のラインナップで特筆されるのは、新たに加わった船外機艇とフライブリッジモデル。どちらも本誌既報の通りだが、今回はフライブ
リッジモデル「42 Fly」の姉妹艇にあたる「42 Grande Coupe」を紹介しよう。
REGALの現行ラインナップには3つの42フィート艇が存在する。フラッグシップの「53 Sport Coupe」から数えて3番目に大きな
サイズだ。REGALといえばミドルクラス以下を中心に作ってきたメーカーであり、10数年前まで42フィートが最大だったことを考え
ると、このクラスに3モデルも共存することに驚かされる。「42 Sport Coupe」「42 Fly」「42 Grande Coupe」の3モデルがそれ
である。
「42 Sport Coupe」は既存のエクスプレス艇で、「35 Sport Coupe」「46 Sport Coupe」「53 Sport Coupe」などと同系統の
デザイン。これらのシリーズがデビューした当時はREGALが北米よりもヨーロッパのマーケットを強く意識していたこともあり、
それを窺わせるデザインだった。
一方、新たに開発された共通のハルを採用する「42 Fly」と「42Grande Coupe」は、「42 Sport Coupe」に比べると全体にボ
リューム感があるデザイン。いかにもアメリカっぽいテイストだが、緩やかに曲線を描くシアーラインなど、洗練された印象だ。
フライブリッジモデルとハードトップモデルを同時に開発することで、様々なコストダウンが図れる点はメーカーにとっても顧客に
とっても大きな魅力。
また近年欧米ではハードトップ艇が人気である。日本でも著名な例を挙げれば、ドイツ・ハンゼグループ傘下のSEALINEや、オースト
ラリアのRIVIERAなどのハードトップモデルがある。これらのビルダーはフライブリッジ艇も製造しているが、ハードトップ艇に大き
なマーケットを見出している。アメリカの場合、マイアミやフォートローダーデールなど、水路と多数の橋脚があるエリアでハードト
ップは好まれる。現地の橋脚は比較的低く、多くが開閉式になっている。フライブリッジモデルやセールボートで通航する際は、無線
連絡が必要で面倒。そのまま下を通れるハードトップモデルの売れ行きが好調という話も聞く。
「42 Grande Coupe」で最も特徴的なのが開放感あふれるメインサロンのレイアウトだ。アフトデッキはREGALが「パティオ(Pa
tio=スペイン語で中庭を表す)」と称すように、まるで瀟洒な中庭風。アフトデッキとメインサロンとの境目のエンクロージャードア
は全面ガラス張りのうえに完全に開放でき、両者をシームレスに一体の空間としてデザインしている。メインサロンはヘッドクリアラ
ンスが十分に確保されているため、驚くほど広々している。艇体のデザイン的にロープロファイルにならざるをえない「42 Sport Co
upe」と比べると、その差は歴然。サイドウィンドウも大きな面がとられており、採光性が非常に良く、ドライバーにとって全周方向
に視界が確保されている。またドライバーズシート上部の天井部分は開閉可能でオープンボート的な爽快感も味わえる。メインサロン
後部の右舷にはギャレーが設けられており、近年のヨーロッパのクルーザーテイストのデッキレイアウトになっている。
ロアーデッキへはドライバーズシート横のステップを経由する。下に降りると左舷にロアーギャレー、右舷にヘッドルーム(トイレ・
個室シャワー付き)が配置されている。42フィートながら上下にギャレーをふたつも擁する贅沢な造りだ。なおロアーギャレーは、ヘ
ッドルーム(トイレのみ)に変更するオプションも用意されている。ステートルームは前後2部屋。ミジップに設けられたアフトステー
トルームは、ツインベッドへの変換も可能なフルサイズのキングベッドを配置、42フィートとは思えない圧巻の広さだ。フォワードス
テートルームはクイーンサイズのベッドが中央に配置されている。「42 Grande Coupe」はその外観通りのボリューム感で、実に素晴
らしい居住空間を持ったハードトップ艇である。
搭載されるエンジンは、「42 Fly」と同様、VOLVO PENTA IPS500、またはIPS600となる。「42 Fly」と同時に行われたフロリダで
のシートライアルでは、IPS600搭載モデルが登場した。ハルは従来の「42 Sport Coupe」とは異なり、IPS搭載を前提に新たに開発さ
れている。
そのためIPSとのマッチングも良好である。フライブリッジレスの低重心な船体はエクスプレスクルーザーのようにクイックに動くがこれ
もIPSならではだろう。
ビルダー発表のカタログ値では、巡航28ノット、マックス34ノット。静止状態からスムーズにプレーニングに移り、全般的に安定した
マニューバを見せる。当日のフロリダ・ビスケーン湾はフラットな状況だったが、引き波を超える際の動きを見る限り、多少荒れた水面
でもソフトな挙動を見せてくれそうだ。旋回時はIPS搭載艇らしいかなりタイトな高速ターンも可能で、やや強めの傾きを見せながら走る。
かつて日本では40フィートを超えると、フライブリッジモデル一択だったが、最近はエクスプレスやこういったハードトップモデルも
増えてきた。この充実した居住空間とREGALらしい安定した走りは、日本のユーザーにも魅力的な選択肢が増えたと言えるだろう。「RE
GAL42 Grande Coupe」は、随所に遊び心を見せるREGALらしいこだわりにあふれている。海での遊び方をいろいろと想像させてくれ
るボートだ。 P.B.
REGAL 42 Grande Coupe
全長 12.28 m
全幅 3.96 m
喫水 1.1m
重量 12.47 ton
エンジン 2 × VOLVO PENTA D6 IPS600最高出力 2 × 435 HP
燃料タンク 977 L
清水タンク 235 L
問い合わせ先 リーガル・ジャパン
TEL: 079-322-8800
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