ヤマハ藤田 シーサイドクラブ
RockstarREGAL 33 EXPRESS
間もなく創業50周年を迎える「REGAL BOATS(リーガル)」。
近年は船外機ラインナップを充実させるなど新機軸への積極的な展開も注目される。
多様性を増した REGAL だが、やはり最も得意とするのは中型エクスプレスクルーザー。その熟成と充実を物語るのが「33 Express」だ。
REGAL ならではの素晴らしいマニューバとポテンシャルは、パワーボートの走りを楽しみたい人にも満足いくはず。
そして今まで通りオリジナリティあふれる意匠も健在。姉妹艇の「35 Sports Coupe」と合わせて神戸でシートライアルを行った。Rockstar
text: Takayuki Kijima photo: Kai Yukawa, REGAL BOATS
special thanks: REGAL JAPAN http://regalboats.jp
■■ リーガルボート 33EXPRESS
PDF版は こちら>>>REGAL33EXPRESS
アメリカ・フロリダ州 オーランドを本拠地とするボートビルダー「 REGALBOATS(リーガル、Regal Marine Industries, Inc.)」は、
間もなく創業50周年を迎える。
一貫してクック(Kuck)ファミリーによる家族経営(現社長は創業者の息子)を続けており、独立資本のビルダーとしてはアメリカ最大
規模とされる。オリジナリティあふれる多彩なアイディアを活用し、多様なボートを作り続けてきた。
「REGAL」が主戦場とするのは小~中型クラスのエクスプレスボートだ。今回紹介するのは、まさにREGALが最も得意とするジャンル、
中型エクスプレスクルーザーの「33 Express」である。日本に初上陸した「33Express」は全長10.36m、前傾した大型レーダーアーチ
(PowerTower)が特徴的なアメリカンスタイルのエクスプレスクルーザーである。
従来あった「32 Express」をベースにした新型だ。ハルカラーは Premier 仕様で、Black & Flame Red の組み合わせ。
なおカラーオプションは多彩に揃っており、REGAL のホームページでパターンをテストできる。
「33 Express」のデッキレイアウトは、ロアデッキにバウおよびミッドキャビン、アッパーデッキにミッド&アフトコクピットという
オーソドックスな組み合わせ。バウキャビンにはこのクラスのエクスプレス艇にしては広めのサロンスペースが用意されている。
特にヘッドクリアランスがしっかりと確保されているのも特徴だ。
最前部には半分ほどの長さのダブルサイズのベッドを配置。サロン前部のソファの背もたれを変形させるとほぼフルサイズのベッドと
なる。サロンはL字型ソファとコンパクトなギャレー&シンクが並び、その後ろに個室ヘッド(シャワー兼トイレルーム)が備わる。
ミッドキャビンには33フィートクラスとしては随一とされるキングサイズベッドを配置。こちらはアレンジによってはツインベッドルー
ムにも変更可能だ。
外観で特徴的なのが舷側の大型サイドウィンドウ。これはちょうどサロンとギャレー部分とミッドキャビン部分に当たる。そのためキ
ャビン内はエクスプレス艇とは思えないほど自然光で明るい。しかもサイドウィンドウはガンネルよりも下に配置されている。
大型クルーザーの場合、ガンネルより下のサイドウィンドウは10数年前から一般的になっていたが、エクスプレス艇でもこれが普通に採
用されるようになってきた。以前よりも構造的に、素材的に強度が上がってできたディテールと言えるだろう。
広々としたコクピットは中央から最後部までフルフラットで一体感があるため、パーティースペースにぴったりの空間となっている。
最前部の右舷側に広めのドライバーズシート、左舷側にL字型ソファが並ぶ。その間にキャビンへのアクセスドアとバウデッキへのアクセ
スステップが備わる。ダッシュボードの表面には合成皮革を用い、隅をハンドステッチであしらってある。
ステアリングと合わせてなかなかの手触り。ステアリングはチルトで角度を変えられるため、シートの高さや位置と合わせて最適なポジシ
ョンで操船できる。
ドライバーズシートの後部には、BBQグリル、シンク、冷蔵庫、ストレージなどの揃ったリフレッシュメントセンターが設けられている。
L字型ソファの後部の背もたれはバックトゥバックで前後に向きを変えられる。
最後部にはサンパッド兼の大型ベンチソファ(Slide-Away Cockpit Seat)を配置。これはボタンひとつで前後にスライドする。
後ろ(すなわちスイミングプラットフォーム上)にスライドさせれば、その分コクピットを広く使える訳だ。
最大 11インチ(約28cm)拡大できる。また各シート類の下部には大型ストレージがあり、オープンエクスプレスながらコクピットは想像
以上に収納性が高い。
前述の通りコクピットには、PowerTower と呼ばれる大型レーダーアーチが設けられており、今回の艇ではここにビミニトップをセット
している。日差しの強い夏場もこれは快適。また PowerTower はボタンひとつで倒せる。ブリッジクリアランスは通常 3mあるが、倒した
状態では 2.3mとなる。低い橋の下を通る際などとても便利だ。干満の大きな日本でのリバークルーズにはぴったりのアイテムだ。
また、コクピットのフロアレベルから一段下がったスイミングプラットフォームはとても水面に近く、マリンスポーツや海水浴に最適だ。
「33 Express」のパワートレインは豊富なバリエーションが揃う。ガソリンエンジンの場合、MERCURY MerCruiser 250馬力 ×2基
から、MERCURY MerCruiser または VOLVO PENTA 300馬力 ×2基まで揃う。ディーゼルエンジン仕様もあり、VOLVO PENTA D3
(220馬力)×2基が用意されている。今回の艇はガソリンエンジンの VOLVO PENTAV8 300。300馬力エンジンを 2 基掛けしている。
電子式シフト、ジョイスティック採用で非常にスムーズな操作が可能となっている。もちろんデュアルプロップだ。
シートライアルは波穏やかな神戸・須磨沖で行われた。非常に締まった印象のブラックハルが壮観である。室内のヘッドクリアランス
があるため、もっと高さ方向のボリューム感があるかと思ったが、実際に走らせてみると非常にロープロファイル。重心が低いため、と
ても安定した走りを見せる。高速での旋回時も極端に傾くことなくスムーズにステアリングに反応する。マックス38kt、このスピードで、
このコントロール性であれば、走りそのものも安全に楽しめるだろう。
なお 2017年モデルから REGAL が投入した OUTBOARD SERIES に「33 XO」というモデルがあるが、こちらは「33 Express」とは
パワートレインが異なるタイプ。基本的なデッキレイアウトなどは一緒である。「REGAL33 Express」は、充実したデッキスペースを用
いてデイクルーザー的に楽しむも良し、広々としたキャビンスペースを活用してナイトステイやロングクルーズを楽しむも良し、日本にお
けるボート遊びの質を大きく向上させてくれる可能性を秘めた一艇である。
REGAL 33 Express
全長 10.36 m
全幅 3.2 m
喫水 0.9 m
重量 5.73 ton
エンジン 2 × VOLVO PENTA V8 300
最高出力 2 × 300 HP
燃料タンク 568 L
清水タンク 136 L
問い合わせ先 リーガルジャパン TEL: 079-322-8800
http://regalboats.jp
PDF版は こちら>>>REGAL 35 SPORT COUPE
35フィートとは思えない軽やかな操作性を持ったハードトップのアメリカンスタイル
今回の取材で合わせて試乗した「REGAL 35 Sport Coupe」は、REGAL 社の現行ラインナップでは一番上のクラスの SPORT YACHT カ
テゴリーに入るモデル。パワートレインには VOLVO PENTA V8 300 を採用。ジョイスティックによる離着岸が可能で、35フィートとは
思えない軽やかな操作性で、低速でも高速でも安定したコントロールが可能だ。「33Express」同様にロアフロアにメインサロンと前部ベ
ッド、ミッドキャビンにバースを配置。もちろんギャレーやヘッドルームも充実。コクピットはレーダーアーチと一体化したハードトップ
に覆われ、エンクロージャーでアフトコクピットを含めて全体を覆えるため、全天候型のオープンエクスプレスクルーザーとなっている。
P.B.
REGAL 35 Sport Coupe
全長 11.23 m
全幅 3.45 m
喫水 0.9 m
重量 5.85 ton
エンジン 2 × VOLVO PENTA V8 300
最高出力 2 × 300 HP
燃料タンク 598 L
清水タンク 189 L
問い合わせ先 リーガルジャパン TEL: 079-322-8800
http://regalboats.jp
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